皆さんこんにちは〜。
元気にお過ごしでしょうか。
本日は題名にもあります「達人セット」(なんて怪しげなネーミング。。)を購入した時のお話です。
もう20年以上前、遥か昔のお話になります。
そもそも、、
「達人セットってなんなのよ?」
っていうところから説明をします。
「達人セット」とは、当時の値段でたしか1セット一万円くらいで販売していた運動器具の一種です。
その中身は、丈夫な木の棒(50cmくらいの物)が2本と、コピーされた紙の説明書が数枚入っていました。
(制作コストパフォーマンス良すぎ!!👏🏻)
「達人セット」の使い方をザックリ説明しますと、
① 2本の木の棒を十字に重ねる
②グラグラする上に裸足で乗る
👉危ないので真似しないでね♪
…以上です!
説明書を参考にしながら、数種類の乗り方を継続していく事で、インナーマッスルや身体意識が鍛えられるという器具です。
「えっ!…それだけなの!?」
と思われるかもしれませんが、本当にそれだけなのです。
なんか、平和な時代でしたね😌
そんな原始的な器具に、実際に効果があるの??と思われるかもしれませんが、これが個人的には結構効果があった気がしています。
正直なところ、身体意識の方はよくわかりませんでした。
ただ、色々な世界の達人と言われる方の身体意識を体験する勉強として、ぼんやりと感覚をイメージができた気がしました(本当に?)
脱力することで身体の深い部分を使う感覚。
重力と自分の身体の関係性。
インナーマッスルを刺激して、なんとなく使えているようなイメージ。
…実際に何か出来た訳ではないのですが、運動に対する認識が変わった気がしました。
当時はまだ、スポーツの世界でもインナーマッスルという言葉がちらほら出てきたばかり。
スポーツ界の指導方法も、精神論中心の教え方で(実はこれも大切だと思う)今みたいに科学的なトレーニングは一般的には知られていませんでした。
インターネットもほんの一部の人がやっているだけでしたので、情報量も圧倒的に少なかった時代です。
武術雑誌を見て「達人セット」の存在を知った私は、池袋のジュンク堂という大きな本屋さんに行き、武道書のあるフロアでそれを見つけました。
「達人セット」はカウンターのお姉さんの後ろの棚に、お客さんが勝手に手に触れらない所に大切に陳列されています。
なるほど… さすがは一万円の高級な商品。。
😓「す、すみません…」
💁🏻♀️「はい、何か探し物でしょうか?」
😓「ゴニョゴニョ…」
💁🏻♀️「…はい?」
🫣「た…たっ、達人セットを1つください!」
💁🏻♀️「かしこまりました!達人セット一丁入りました〜〜♪」
と、店員さんが言っていたかは覚えていませんが…(苦笑)
この商品名は、なんとかならなかったのかしら。。
めちゃくちゃ恥ずかしかった😭
この商品を開発したのは高岡英夫さんという方です。
ゆる体操を生み出し、ディレクト・システム社(DS社)を設立し、今も身体について研究をされているようです。
たくさんの本も、出版されています。
その著書の中に【極意要談】という本があり、そこでは当時の著名な武術の達人方と高岡先生が対談しています。
その中の一つに、養神館合気道創始者の塩田剛三先生との対談も収められていました。
塩田先生といえば、ロバート・ケネディさん(ケネディ大統領の弟)が来日した時に、そのボディガード(身長190cm 体重100kg)を畳にひれ伏せさせた正真正銘の実戦派の達人です。
人気格闘技漫画グラップラー刃牙のキャラクター、「渋川剛気」のモデルにもなっています。
対談中に高岡先生が
「丹田や仙骨、中心線以外にも能力が発揮できるポイントがあると思うのですが、たとえば足の裏とか…」
と質問をします。
すると塩田先生は、腰から足裏に達する曲線状の意識の話をします。
それは高岡先生が著書で『ジンブレイド』と呼んでいて、達人の身体意識を絵にするときによく描いている意識のラインと同じ線を示していました。
「そういった意識の話は、お弟子さんに教えないのですか?」
と質問すると
「それは弟子には教えていません。そういう事は自分で鍛えながら気づくことだから。」
というようなくだりがありました。
(すみません、細かい描写は違っているかもしれません)
それを読んだ私は
(えっ?…達人の技って、そんなハッキリとしたメカニズムがあるの!!?)
と頭の中に衝撃が走った覚えがあります。
今と違い、そもそもの情報量が少ないあの時代。
「達人っていうのは強いのか?ってか、そもそもいるの?」
なんてご時世なので、めちゃくちゃ衝撃的な話に感じたのです。
今ならGoogleで検索したり、YouTubeで探せばすぐに見つかる話かもしれませんが、当時あれを読んだ時の衝撃はすごかったのです…。
(達人っているんだ… あの超人的な技が本当にあるんだ!)
心からそう思い、ワクワクしたのを覚えています。
そんな事情もあって、怪しげな「達人セット」にも迷わず一万円を払えたのです。
勉強をするためのお金は惜しまない!と自分で決めていたことも購入を後押ししました。
今では、スポーツ選手がバランスボールを使ってトレーニングするのは普通のことです。
昔の沖縄空手の先達は、岩の上に油を撒いてツルツルにして型を鍛錬したという話もなにかで聞いたことがあります。
あの2本の棒で作り出す、不安定な状況で立つ訓練が
「見えない何かを鍛えることに繋がっている」
という経験が、個人的には空勁気功を学ぶうえで、精神的な支えのひとつになっていた気がします。
目に見えない気功の訓練は、孤独との闘いという側面があります。
ただ一定の姿勢で立ち続けるという訓練を続けるには、その根拠になるものが「自分の感覚」しかありません。
気がつくと「あれ?そういえば体の状態が以前と変わっているかも」という結果はたしかにあるのですが、それも目には見えません。
修行の中で気功の理論も勉強しますが、本当にそれが正しいのか信頼できるものなのか。
先生のもとで修行している時も、過去に勉強したいろいろな理論と照らし合わせて考えながら試行錯誤して練功していました。
永い期間、孤独な空勁気功の訓練を継続するために、それを検証できる理論の一つとして「達人セット」を体験していたことは、充分に一万円の意味があったのではないかな〜と今は思っています。
まあ、現代ならば他の方法でも無料で勉強できるかもしれませんね☺️
最後までご覧いただき有難うございます。
それではまた!